「フランク&アイリーン」のシャツはなぜ愛される

2009年に米カリフォルニアでスタートしたシャツブランド「フランク&アイリーン(FRANK&EILEEN)」は今年、ブランド設立10周年を迎える。130年以上の歴史を持つイタリアの老舗生地メーカーの素材を使い、体のラインを考慮した着心地の良さ、独自の美シルエット、豊富なバリエーション、アイロン要らずで洗いざらしのまま着られる扱いやすさなどが支持を得て、5周年となる東京・千駄ヶ谷の旗艦店は、確実にファンを獲得。ハリウッド女優のリース・ウィザースプーン(Reese Witherspoon)やモデルの梨花らも愛用する。3万円前後と決して安くはないシャツが愛される理由は?来日したオードリー・マクローリン(Audrey Mcloghlin)デザイナーに聞いた。

ブランドを立ち上げた時の思いは?

以前、カシミヤの工場で働いていたときにイタリアの生地の本と出合って、それがきっかけで毎日着られる女性用のシャツを作りたいと思ったの。イタリアには素敵な生地がたくさんあるから。

シャツにこだわる理由は?

私自身が元々シャツが好きだから。ファッションではシャツだけが女性の強い部分とマスキュリンな部分、フェミニンな部分を兼ね備えたモノだと思う。

ブランドを立ち上げて10年。変わらないところと進化したところは?

10年間ずっと同じイタリアの生地メーカーの素材を使っていて、プロダクション、ロジスティックも変わっていない。ずっと変わらないクオリティーのモノを提供しているわ。進化したところで言うと、10年間やってきてどんどん新しいシルエットが増えている。扱っている生地も増えて、今では200ぐらいのバリエーションがあるわ。

独占販売契約を結ぶサザビーリーグが運営する千駄ヶ谷の旗艦店も5周年だが、日本でのビジネスのこれまでを振り返ると?

この10年でブランドはどんどん大きくなってきているけど、この5年間は特に成長した。以前はホールセールのみだったけど、ECをスタートしてから売り上げが大きく伸びていて、今では50%がECの売り上げ。リピーターも多くて、毎月のように買ってくださる顧客もいるわ。今はアメリカ、日本、オーストラリア、ニュージーランド、カナダで展開していて、ビジネス的にはアメリカが一番大きく、次が日本。その他の国はまだまだ小さなビジネスだけど、日本は特に力を入れていて、特別なカラーやファブリック、刺しゅうなどの別注もたくさん展開している。

日本市場の印象は?

日本のお客さまは特に品質にこだわっている印象ね。それにブランドの背景に興味を持ってくれる方も特に多いわ。

「フランク&アイリーン」はアイルランド出身の祖父母の名前とのことだが、なぜこの名前を付けた?

「フランク&アイリーン」は私にとって3つ目のビジネスで、最初は母親の名前、次は自分のニックネームをつけた。ファミリーをすごく大切にしているから、この名前にしたわ。ブランドロゴにある「1947」はその祖父母が結婚した年でもあるの。

次の10年に向けてどう考えている?

10年はかなり長いからわからないわ(笑)。でも2~3年後に関して言うなら、デジタルの発展が著しいから私たちからお客さまに話しかけたり、コミュニケーションできる機会がもっと多くなっていくと思う。お客さまにダイレクトにブランドのストーリーを伝えることもできると思うから、今後はそういう機会をどんどん増やしていきたいわ。

「さよなら、コレット!」ついに閉店、その最終日を追う

パリのセレクトショップ、コレット(COLETTE)が閉店した。「正直に言うと、昨夜はほとんど眠れなかったわ」。最終日の開店準備をしながら、サラ・アンデルマン(Sarah Andelman)=コレット クリエイティブ・ディレクターは明かした。そんな彼女が最終日に着用していたのは、“Au Revoir Colette(さよなら、コレット)”の文字がプリントされたブルーのフーディーに、「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」のスカート、「モンクレール Tシャツ コピー」のダウンジャケットだった。

開店30分前の10時30分、在庫が店内に運び込まれ、ウィンドーも最終日仕様に。コレットは定期的に入れ替わるウィンドーと、店舗で頻繁に開催されるイベントが有名で、ウィンドーは広告の役割も果たしていたが、この日はケージに入った25種の生きた蝶々がはばたいていた。このウィンドーは、コレットが20年前にオープンした時のウィンドーにオマージュを捧げたもの。20年前は、ブルーの蝶々がウィンドーを飾った。サラは、「人生は続くわ。蝶々には翅があるでしょう。はばたくというアイデアからよ」と語った。

開店前、コレットの前には若いファッショニスタたちの行列ができていた。その先頭に並んだのは18歳のボードゥアン・モーレル(Baudouin Maurel)。「僕はスニーカーのために並ぶのには慣れっこなんだけど、今日もたくさんの人が並ぶと思った。コレットはパリのストリートウエア界隈で1番アイコニックな場所だからね。コレットのスタッフが今日は入荷商品がたくさんあると教えてくれたよ」と話した。

「Colette c’est chouette(素晴らしきコレット)」と連呼する行列を誘導していたのはサンドリン・トニー(Sandrine Tonye)=コミュニケーション・マネジャーだ。「私は10年間コレットで働き続けてきた。コレットは私の家族よ」と話す。彼女によれば、夜にはさよならパーティーを開催予定だという。

コレットは19時に閉店し、公式ECサイトは23時59分に閉鎖する(ほぼ売り切れ状態)。コレットは19日に「Au Revoir(さよなら)」というタイトルで最後のニュースレターを送信。顧客とビジネスパートナーに感謝するとともに、閉店後もコレットについての思いを同ECサイトでシェアするように促した。また、ユーゲ・ローソン・ボディ(Hugues Lawson-Body)が監督した、コレットのドキュメンタリー映画もアップ予定だという。

オープン時、真っ先に人だかりができたのはTシャツのラックだった。コレットで5年間働いたというスタッフ、ミカエル・バラトゥー(Michael Baratoux)によれば、コレットのマスコットがプリントされたTシャツが最初に売り切れ、次に “Forever Colette”や“Paris Colette Club”とプリントされたスエットが完売したという。そんな彼は、「悲しいけれど、同時にこの特別な1日を楽しんでいる。今日は僕の新たな人生の最初の章でもある」と語った。サラはドアの前で、店から出る買い物客にチョコレートを手渡しで配っていた。

閉店の10分前、店内は人で埋め尽くされていた。突然、サラの夫のフィリップ・アンデルマン(Philip Andelman)、モデルのカロリーヌ・ド・メグレ(Caroline de Maigret)、コレットのPRを手掛けていたルシアン・パジェス(Lucien Pages)、DJのペドロ・ウィンター(Pedro Winter)ら、サラと関係が深い人物がブルーの風船と花火を持って登場すると店内の盛り上がりは最高潮に達し、「コレット、コレット、コレット」「サラ、サラ、サラ」とコールの嵐が起きていた。熱狂の渦のまま、最後のパーティーがスタートした。

「フェンディ」2019年春夏雑貨は“バゲット”復活に期待 スポーツムードを上品に

フェンディ(FENDI)」が10月にミラノで発表した2019年春夏ウィメンズコレクションは、サイクリングパンツやブラトップを取り入れたスポーティーなスタイリングが目をひいた。直球のカジュアルとしてスポーツを表現するのではなく、レザーや手の込んだ刺しゅうなどのエレガントな要素と組み合わせることで、大人の女性も楽しめるようにしていたのが印象的だ。バッグやシューズなどの雑貨でも、スポーツムードを上質にこなしたデザインが充実している。1990年代に一世を風靡したバッグ、“バゲット(BAGUETTE)”の新デザインが豊富に登場している点も話題となっている。

さまざまな素材で“バゲット”を企画している。90年代にヒットしたのは小さめサイズが中心だったが、それに比べるとやや大きなサイズの提案が多い。いち押しは、パステルカラーとFFロゴを組み合わせたデザインの“バゲット”だ。ソフトなナッパレザーに、エンボス加工によってFFロゴを浮き上がらせ、綿を挟み込むことでダイバースーツに使うネオプレン素材のようなタッチにしている。スポーティーな感覚に仕上げることで、90年代の“バゲット”ブームを知らないミレニアル世代にもアピールする。日常で使いやすいデニム素材や、手の込んだ刺しゅうなどのデザインもそろう。

FFロゴをエンボス加工したシリーズでは、新型としてボストンバッグも出している。上下が逆さまになったようなデザインのクロスボディーバッグは、ストラップを付け替えて、ウエストバッグとしても着用ができる。

ここ数シーズン、バッグにカバーをかけてイメージを変える提案がさまざまなブランドで増えている。「フェンディ」もアイコンバッグの“ピーカブー(PEEKABOO)”でカバーの提案を行っているが、今季はアウトポケットがたくさん付いたカバーに注目だ。ポケットの一つ一つに、“PHONE(電話)”“COINS(小銭)”“OTHER(その他)”とロゴが入っていて、荷物が多い人でも仕分けがスムーズ!ネオンカラーのネオプレンを使ったポップなカバーもある。バッグ本体にアウトポケットが付いたデザインや、ストラップにポケットが付いたデザインの“ピーカブー”もある。

2018年春夏にヒットしたPVC素材のバッグは、19年春夏も引き続き支持を集めそう。レザーを組み合わせることで大人っぽい表情に。

シューズは、スポーティーなネオプレンやメッシュなどをパッチワークしたパンプスやフラットシューズが豊富にそろう。パンプスはスクエアトウのレトロな形が中心。そこに直線模様などを載せることで、少しだけフューチャリスティックな感覚も表現する。

花をそのまま身に着けるような、カラフルなエナメル加工のピアスやチョーカーなどを企画した。ブラトップやメッシュスカートなどのスポーティーなスタイルに花のジュエリーを組み合わせることで、女性らしいエレガントなムードをプラスする。

「シュプリーム」×「ザ・ノース・フェイス」から19年春夏の第1弾コラボコレクションが登場

シュプリーム(SUPREME)」は3月30日、毎シーズン定番となっている「ザ・ノース・フェイス(THE NORTH FACE)」とのコラボコレクションを発売する。両者のコラボコレクションは1シーズンに複数回発表されることで知られており、本コラボは2019年春夏では第1弾となる。

全8型が用意されたが、アパレルは胸元に大きくあしらわれたアーチ状の“SUPREME”の文字が目を引くマウンテンパーカとデナリフリース、そしてマウンテンパーカとセットとなるパンツの3型のみ。マウンテンパーカとパンツのセットアップは、「ザ・ノース・フェイス」が「シュプリーム」のためだけに製作した特注品で、縫い目が全くない完全防水仕様ながら素材に「ゴアテックス(GORE-TEX)」を使用することで通気性も兼ね備えた機能性の高いウエアとなっている。

他5型は、ダッフルバッグとオーガナイザー(小型ポーチ)、キャップ、ハット、ブランケットといった小物とアクセサリーをラインアップ。どのアイテムにもアパレル同様アーチ状の“SUPREME”の文字があしらわれ、ダッフルバッグとオーガナイザーのメイン素材には、擦り切れと水濡れに強く通常のナイロンの5倍近い強度を持つといわれるバリスティック ナイロンが使用されている。

全てのアイテムがブラック、ブルー、レッド、パープル、イエローの5色展開で、「シュプリーム」直営店や公式サイト、ドーバー ストリート マーケット ギンザ(DOVER STREET MARKET GINZA)などで取り扱われる。