パリのセレクトショップ、コレット(COLETTE)が閉店した。「正直に言うと、昨夜はほとんど眠れなかったわ」。最終日の開店準備をしながら、サラ・アンデルマン(Sarah Andelman)=コレット クリエイティブ・ディレクターは明かした。そんな彼女が最終日に着用していたのは、“Au Revoir Colette(さよなら、コレット)”の文字がプリントされたブルーのフーディーに、「ノワール ケイ ニノミヤ(NOIR KEI NINOMIYA)」のスカート、「モンクレール Tシャツ コピー」のダウンジャケットだった。
開店30分前の10時30分、在庫が店内に運び込まれ、ウィンドーも最終日仕様に。コレットは定期的に入れ替わるウィンドーと、店舗で頻繁に開催されるイベントが有名で、ウィンドーは広告の役割も果たしていたが、この日はケージに入った25種の生きた蝶々がはばたいていた。このウィンドーは、コレットが20年前にオープンした時のウィンドーにオマージュを捧げたもの。20年前は、ブルーの蝶々がウィンドーを飾った。サラは、「人生は続くわ。蝶々には翅があるでしょう。はばたくというアイデアからよ」と語った。
開店前、コレットの前には若いファッショニスタたちの行列ができていた。その先頭に並んだのは18歳のボードゥアン・モーレル(Baudouin Maurel)。「僕はスニーカーのために並ぶのには慣れっこなんだけど、今日もたくさんの人が並ぶと思った。コレットはパリのストリートウエア界隈で1番アイコニックな場所だからね。コレットのスタッフが今日は入荷商品がたくさんあると教えてくれたよ」と話した。
「Colette c’est chouette(素晴らしきコレット)」と連呼する行列を誘導していたのはサンドリン・トニー(Sandrine Tonye)=コミュニケーション・マネジャーだ。「私は10年間コレットで働き続けてきた。コレットは私の家族よ」と話す。彼女によれば、夜にはさよならパーティーを開催予定だという。
コレットは19時に閉店し、公式ECサイトは23時59分に閉鎖する(ほぼ売り切れ状態)。コレットは19日に「Au Revoir(さよなら)」というタイトルで最後のニュースレターを送信。顧客とビジネスパートナーに感謝するとともに、閉店後もコレットについての思いを同ECサイトでシェアするように促した。また、ユーゲ・ローソン・ボディ(Hugues Lawson-Body)が監督した、コレットのドキュメンタリー映画もアップ予定だという。
オープン時、真っ先に人だかりができたのはTシャツのラックだった。コレットで5年間働いたというスタッフ、ミカエル・バラトゥー(Michael Baratoux)によれば、コレットのマスコットがプリントされたTシャツが最初に売り切れ、次に “Forever Colette”や“Paris Colette Club”とプリントされたスエットが完売したという。そんな彼は、「悲しいけれど、同時にこの特別な1日を楽しんでいる。今日は僕の新たな人生の最初の章でもある」と語った。サラはドアの前で、店から出る買い物客にチョコレートを手渡しで配っていた。
閉店の10分前、店内は人で埋め尽くされていた。突然、サラの夫のフィリップ・アンデルマン(Philip Andelman)、モデルのカロリーヌ・ド・メグレ(Caroline de Maigret)、コレットのPRを手掛けていたルシアン・パジェス(Lucien Pages)、DJのペドロ・ウィンター(Pedro Winter)ら、サラと関係が深い人物がブルーの風船と花火を持って登場すると店内の盛り上がりは最高潮に達し、「コレット、コレット、コレット」「サラ、サラ、サラ」とコールの嵐が起きていた。熱狂の渦のまま、最後のパーティーがスタートした。